加工事例

2021.12

『甲陽園の家』

株式会社 畑 友洋建築設計事務所

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『甲陽園の家』 完成し、見学させていただきました。

畑 友洋 建築設計様 談

小さなピースに分解、組み立て可能な素材としてLVL材に着目し、1つのアーチを5枚の30mm厚のLVL材によるパーツで組み立てることで、容易に手で運び、組み立てることができる仕組みを考えた。材料はレーザーでLVL板から切り出し、二枚を重ね、それぞれつなぐ位置が重ならないようにずらして連結することで、小さなLVLユニットの組み合わせによるゆったりとしたアーチ構造となる。これは組石に近似させた組木であり、概ね繊維方向に沿って切り出した木目にそって圧縮と引張の力だけが流れるような原始的な仕組みである。
こうしてできた木のアーチを、互いに背中合わせに持たせあい、十字形状をした柱型に組み合わせることで、伸びやかに反復する架構の仕組みへと展開させた。

次に、この架構における屋根の掛け方について検討し、十字柱のアーチのグリッドから45°斜行した向きにボールト状に屋根を連続させることにした。そうすることで、十字柱の座標と遮光するボールトの座標が天地で重なり、周囲のつづら折れの道の流れに呼応するような多軸的な流れが生まれ、同時に多方向に伸びやかな住まいの開放性を獲得できる。
小さな部材の組み立てで、伸びやかな空間を生み出す架構の形式が、道の流れをつなぐ多軸的な座標となり、認識における空間を街の広がりの中に拡張し、伸びやかな斜面の連なりにまで溶け出していくような住まいのあり方を目指した。